2013年2月2日朝日新聞デジタルより。
円安・株高へと相場を反転させたきっかけは、安倍晋三首相の経済政策「アベノミクス」だった。円相場は昨年11月中旬時点の1ドル=79円台半ばから12月末には86円台後半まで値下がりし、輸出企業の業績を押し上げた。
後世の人が読んだら誤解するので自己矛盾を抱えた記事を書くのはやめてもらいたい。
「きっかけ」というからには反転した最初の時点を見るべきで、同記事のグラフには11月に
野田前首相が衆院の解散方針を表明
とある。きっかけはアベノミクスではなく、民主党政権が終わることへの期待だった。確かに安倍さんは経済政策を表明していたが、解散を表明する党首討論までは「来年夏解散」という予想も有力だった。そこまで行くと安倍執行部が党内支持を維持できたかどうかは当時の誰にもわからなかった(())。当時、「直近に選挙があれば、次は安倍政権」と感じていたのは政界で票読みをしていた人たちだけで、一般的には「大阪維新の会(現・日本維新の会)はどこまで伸びるのかな」と思っていた。日本銀行が2%目標を受け入れるかどうかもわからなかった。
党首討論後、安倍さんはリフレ政策を繰り返し主張するが、近日解散が前提でなければ誰もそんな話に耳を傾けなかったはずだ。
このように考えるべきだろう。
記事は説明不足である。アベノミクスが何か*1を書いていないから、総理就任後の政策とも勘違いされそうだし、この記事から、安倍さんが政策転換を唱えたから市場が反応し、解散を後押ししたと憶測する人もいるだろう。「野田発言で底打ち」では記事にならないと思ったのかもしれないが、過去の人をふせて安倍さんのことだけ書きたいという気持ちで書いているからおかしなことになる。