クレジットカードで定期券を購入

JRや旅行代理店で乗車券を買うときは、次のような流れになります。

  1. 購入者は、区間などを記入した申込書を窓口で手渡す。
  2. 係員は、申込書の記載内容に不明点があれば購入者に質問する。
  3. 係員は、申込書の内容を機械に入力する。
  4. 係員は、窓口の係員が申込書を読んで理解した内容が正しいかどうか、機械への入力内容を見ながら購入者に確認する。
  5. 係員は、金額を提示し、支払い方法を確認する。
  6. 購入者は、支払い方法を決定し、現金またはクレジットカードを係員に手渡す。
  7. 必要な場合、購入者はクレジットカードの認証を受ける(テンキーに暗証番号を入力する)。
  8. 係員は、購入者に乗車券を手渡す。また、必要に応じて、おつりやクレジットカードを手渡す。

この中で重要なのは、次の2点です。

  • クレジットカード決済をする前に、発券内容を購入者に確認する。
  • クレジットカード決済をする前に、金額を購入者に伝える。

さて、友人が東京メトロの定期売り場に行きました。わたしは、近くで友人が定期券を買い終わるのを待っていたのですが、なにやら説教が始まりました。
以前住んでいた場所で、わたしは営団地下鉄都営地下鉄の定期券を買ったことがありますが、流れは上に書いた通りでした。
しかし、この日は、見習いの社員が首をかしげながら端末操作を行っていました。離れたところから見ていて「あの人大丈夫かな」と思いましたが、後ろに指導員がいるから心配いらないと思っていました。実際に、発券は正しくできました。しかし、流れが微妙に違うのです。

  1. 購入者は、区間などを記入した申込書、PASMO、ToMeCardを窓口で手渡す。
  2. 社員は、PASMOを機械に挿入する。
  3. 社員は、ToMeCardもこの時点で機械に挿入する。
  4. 社員は、一言も発することなく申込書の内容を機械に入力する。
  5. 購入者はクレジットカードの認証を受ける(テンキーに暗証番号を入力する)。
  6. 社員は、券面記載内容を説明して購入者に乗車券を手渡す。また、クレジットカードを手渡す。

明らかに省略しすぎです。日本国内でクレジットカードで買い物が行われている場面で、金額提示もないまま決済がされたのを目撃したのはこれが初めてです。それにクレームを入れていたところでした。最初にクレジットカードを渡したのがいけなかったのかもしれませんが、あとで「カードで」と言うと操作がやりなおしになる可能性があるので最初に渡したのだそうです。
わたしは「金額表示が出ているでしょ」と言って機械につながっている金額表示器を指さしたら、なんと金額ではなくその日の日付が表示されていました。ここでわたしもおかしいな、と思ったのです。

  • クレジットカード決済をする前に、発券内容を購入者に確認する。 ←できていない

見習い社員が機械操作で舞い上がってしまったのは仕方がありません。しかし、指導員は記載内容を口頭で確認するよう指示すべきでした。数万円の買い物なのに、どうして取引内容を確認しないのでしょう。間違ったらクレジット決済を取り消してやり直せばいいと思ったのでしょうか。

  • クレジットカード決済をする前に、金額を購入者に伝える。 ←できていない

人だけではなく、金額表示器も表示がないなら、明らかに定期券発券機の仕様がおかしいです。JRの発券機のように、発券と決済は別にした方がいいと思います。対面窓口で発券しているのだから、金額提示なしに取引が完了してしまうのは不思議です。中には、継続で買っているのに毎回確認されるのはおっくうだと感じる人もいるかもしれません。機械も、どの順番で入れても処理してくれるようになっているのかもしれません。しかし、その時は新規購入でした。数万円の買い物なのに、お客さまにお金を負担していただくという意識が欠けているようにも思えます。指輪や装飾品、自動車教習所の申し込みのような、高い買い物を想像してみてください。黙ってカードを取り上げられ、裏でこそこそ決済されたら、いくらかかったのだろうと不安になりませんか。そもそも、クレジットカードの利用者は、その月のカード利用実績とその時の提示金額を念頭に、カードを使うかどうか決める権利があるはずです。その権利を行使する暇がありません。
現金払いのときは、係員が金額を伝えないと購入者は財布から現金を出しません。しかし、カードの場合は金額を言わなくても下手をしたら決済が完了してしまいます。これは機械決済の欠点です。しかし、決済処理上不要だとしても、お金をいただく側はお客さまの目と耳に金額を伝えるようにしなければなりません。それがお客さまに対する礼儀です。
特急券や各種チケットを発券しているJRや私鉄は別ですが、PASMO導入に伴ってクレジットカード発行を始めた会社は、ノウハウが不足しているかもしれません。