2007年8月15日の放送*1。NHKは討論形式の番組をやるのに慣れてきたかなと思う。しかし相変わらず出演者は討論ではなく自己主張を投げっぱなしで、議論が下手だなと思う。そういう意味では日本テレビの太田総理の番組構成の方が議論が盛り上がっているように見えると思う*2。
この日のテーマは憲法9条。この論議は非常に混乱している。
いろいろな考えがあって、二者択一ではまとまらない。同じ理想を持つ人でも改憲・現状維持で分かれる。同じ現実を見つめる人でも改憲・現状維持で分かれる。これは二者択一で問わざるを得ない国民投票実現の難しさを感じる。
しかし、最も混乱させているのは勉強不足ではないかと思う。戦力なしに侵略されたらどうするのかの問いに絶対的平和主義の人たちは
今の日本が戦略される状況にあるのか
と言い切ってしまう。そんなこと、誰が政権をとっても縛りとなる規範を作ろうとする憲法の論議に関係ないではないか。道に信号を立てようかというときに「今は車が来ていないからいらないではないか」と言ってしまうような論議放棄。地震対策をしようとするときに「この街には大地震は今まで来ていないからいいではないから」と言ってしまうような思考停止。護憲の人は、憲法論議はどうでもよくて、憲法を悪権力に乗っ取られたくないという話をしたいだけなのである。今の憲法のおかげで平和だったうんぬんという話はおまけに過ぎないのである。どうして憲法を維持すれば権力が暴走しないのかという一点で議論を続けていればよい。でもそれは憲法論議ではないから論議の場からは退場してもらいたい。
ただし、誰に改憲手続をやらせるかという話は実効性を持たせるために重要なことで、安倍政権になってから、今の政権にやらせてもいいのかという不安を保守・革新両方に与えてしまったことは新たな課題になっている。
ちゃんと論議できる人たちだけで論議をすれば、かなり議論は成熟すると思う。しかし今のままでは永久にまとまらない。
言いたいことはいろいろあるが、書いているうちに自分まで混乱しそうになるので、今日はここでやめておく。
*1:http://www.nhk.or.jp/korekara/
*2:台本かもしれないけれど