環境問題はなぜウソがまかり通るのか

 同題の武田邦彦氏の著書を読んだ。
 リサイクルが不経済なのかどうかまではこの本だけではわからないが、せっかく集めたごみをリサイクルせずに処理しているだろうということは何となくそうなんだろうなとうすうす思っていた。原子力発電と同じで、今のところはあまり利点はないが、あきらめずに、やり方を模索していこう・・・リサイクル事業というのはそういう本質なのだと思う。リサイクルは非常に費用がかかるが、精密機器から希少金属を取り出すなど、すべてやめてしまうという結論を出すのは早すぎる。
 改めて、マスコミや行政の言うことの怪しさを再認識させられる。環境省は循環型社会というなら、単一原料で容器を製造したり、単一原料に分離容易な容器を製造することに対してどうして補助金を払わないのか。そういうことをしないで、処理業者に事後処理を任せる仕組みだけ作るのは、

どうせリサイクルなんかしないんでしょ

と推定するに十分である。
 きっと、第三権力や疑似立法機関(中央官庁)だけが悪いのではなく、それらをうまく利用しようという勢力が悪いのだと思う。そう思いたい。間違ったことを言うだけでなく、「鯨は希少動物ではない」とか「竹島は日本の国土である」とか、科学的に正しいことを主張する能力もない。
 石油の枯渇・・・どうなのだろうか。いつまで経っても統計上の「枯渇する日」は先送りされるが、枯渇する日は間違いなく来る。代替エネルギーというのは開発可能なのだろうか。現在のところ、すべての次世代エネルギーは工業製品による設備が必要であり、すべて石油を必要とする。水力発電だって原子力発電で得た電力で水を吸い上げているし、原子力発電の原料輸送は石油がないと成り立たない。環境問題は石油枯渇とごみ処分の問題に集約されると思ったが、どちらも人類は解決できる見通しを立てていない。