オーダーで服を作った。採寸の後、住所と名前をその場で書いて渡したら、店員さんが寸法と個人情報をパソコンに入力していた。そのデータをプリンターから出していたので、「1枚ください」と言ったら断られた。
「寸法が書いてあって便利だから、くれてもいいじゃない。別にこれを持って他の店で使ったりしないよ」と言ったが、渡せないのは寸法データではなく、
住所と名前だという。
え"っ、と思った。「最近、厳しいんですよ。住所と名前の欄を切り取れば渡せますよ」と。
わたしの頭の中は、はてなマークの大行進。????????????????????????
住所と名前は、たった今わたしが書いて渡したものである。それを渡せないのはどういうことか。「それはわたしの個人情報でしょ。」と言ってはみたものの、店員さんは自信満々である。結局「内緒ですよ」と言いながら個人情報部分を定規を当てて切り取り、寸法データの部分だけくれた。切り取った意味がよくわからない*1が、わたしの目的は達成できたのでほうっておくことにした。
この店の個人情報保護教育はどうなっているのだろうか。
情報主体から個人情報開示請求があった場合は、開示する努力義務があることになっている。個人情報保護法があるから開示できないというのは、正反対ではないか。もちろん、毎日100回請求しにくるなど、業務妨害であるなら拒否するに正当な理由として認められるけれど、パソコンの印刷ボタンを押せばすぐ出てくるわけだから業務妨害でも何でもない。わたしがその場で書いたわけではなく、本人確認書類を提示するわけでもなく、それで「出せ」と言ったらそれは拒否した方が個人情報管理体制上いいだろう*2。ところが、今、何も見ないで書いた住所と名前が出せないというのはどういう発想から来るのだろうか*3。
ここで印刷したデータは、名前と住所が入った状態で店から縫製業者に送られる*4。名前と住所を切り取って渡すべきなのは、わたしではなくて縫製業者向けの送り状の方だろう。服は縫製業者から直送するわけではないので、縫製業者に住所、名前*5入りの送り状を作る必要はない。
この店、バーゲンの前に電話やはがきで攻勢をかけてくることで有名だ*6が、この日も帰り際にお客様カードを書かされた。前の店員は異動してしまったので書き直してください、だそうな。これこそ個人情報管理がなっていないではないか*7。やることをやっていないで「個人情報にうるさいですから」って、そのうるさい奴はどこを見ているのかよ、と思いたくもなったが、怒りというよりかは、おもしろくて、吹き出しそうになるのをこらえるのが大変だった。
いつになったら個人情報保護法は正しく理解されるのだろうか。
*1:第三者提供するときは情報を匿名化するために名前などを切り取るが、わたしは第三者ではない。「本人」だ
*2:他人が請求している可能性があるから
*3:百歩譲って、寸法が書かれたデータを渡したくない理由が別にあったのかもしれない。確かに、オプションのメニューなどがわかるように書いてあったので他の店の参考にされたくないのかもしれない。それで個人情報保護を言い訳に断りたかったということだろうか。そうだったとしても、もう少しましな理由を考えてほしいものだ。それまでオーダーの仕様を決める過程で話してくれたことがすべて出任せに聞こえてくる
*4:以前発注したときも、縫製業者のはんこが入っていた状態の伝票を見かけたから間違いない
*5:男性のスーツで、ネームを入れる場合は仕方がないが
*6:ここまで書いたらばれちゃうかな
*7:店員が変わると書き直さなければならないということは、お客様カードの情報は、各店員が自分の客として管理しているか、名寄せできる仕組みが用意されていないか、どちらかが確実なわけでしょ