公務員削減は半周遅れ

 民間労働市場ではリストラが進んだと言うが、これは平均年齢の引き下げを行ったということだ。高給取りのベテランを排除し、代わりに時給が低い時間給労働者に置き換えたということだ。なにしろ、利益改善のために仕事量を減らす企業はあまりないはず*1だから。
 工場や事務所からは、多くの時間を茶を飲んだり新聞を読んだりパソコンでゲームをしたりすることに費やすおじさんは少なくなったかも知れない。でも、一時期だけ世代交代を加速させても、しばらく経ったらまた使えないおじさんは現れる。しかも、今度は職場の中ではなく、30代後半から40代になってもキャリアを積めず、失業して街をぶらぶらするようになるのである。将来が恐ろしい。
 リストラが一段落したと思ったら、今度は公務員が削減されるらしい。軍隊や警察、教員は増員が必要と言うことだが、一時期だけ非常勤で増やしても、民間のアルバイトと同じことになる。ポストは限られているのだから全員が出世できるわけではない。
 生産性が悪いベテラン公務員を廃するのは、行政から家計への投資を減らすことになる。働かない公務員にお金を渡すのはもったいないが、雇用市場は飽和し、家計は圧迫することになる。
 これへの解決になりうる方策として、行政や官業の民間委託を促進することが考えられる。しかし、ゼネコン等への歳出を見ていると、公務員は入札業者や委託先のコントロールがうまくいっているようには見えない。役所は委託を通して自分の仕事を成功させる(もしくは失敗なく進める)ことに精を出すのではなく、民間の雇用市場や家計へ投資するという機能をまじめに考えてほしい。減らせばいいというものではないし、効率的に投資することを考えなければならない。

*1:仕事をしない人を減らしたり、儲からない会社を売却することはよくあるが、必要と思っている業務を減らすというのはなかなかできないのではないか。もちろんそれに成功している会社はあるけれど、日本経済全体でマクロに改善活動が成功しているとは思えない。製造業はともかく非製造業は特に