フェリーに乗った(1)

 時間に追われる今日において、フェリーに乗るのは大変な贅沢である。何しろ、乗船手続きから出航までで2〜3時間かかる。よほど暇ではないと利用できない交通手段である。
 乗ったフェリーは航行時間が半日以上。陸近くを走っているとはいえ、携帯電話が入らない。日常から離れて優雅な旅に出るわけで、たまには携帯電話に依存しないのもいいかなと思ったが、出航間近に、

銀行振込を忘れていたことに気づいた。

 明日の昼が期限だが、その時刻もまだ海の上だ。
 あわててパソコンからダイアルアップしてみる。なんとかつながる。パソコンをなるべく窓の近くに近づけて銀行サイトにアクセス。窓が陸側で助かった。

俗世とのつながりを絶つことができないわたし。