事故米事件

偽装食品が原料として転売され、流通先の商品に広い影響を与えているという。
ひとつの会社が起こした問題が幅広く波及する産業は、社会インフラを担う分野を中心にいくつかある。
 商用電源は変電所から倍の電圧の電気が間違って出たとしても、家庭近くの変電器などが壊れるだけで家庭に危険な電気が流れることはない。テレビ局がいちど流した放送は取り返しがつかないが、放送事故を起こせばNHKは国会で問い詰められ、牽制が効いている。
これらのように、それなりの歯止めがあればいいが、そうでないものが多い。
そのうち、「上水道が汚染して大都市まるごと飲用水使用禁止」とか「禁止されている殺虫剤が散布され、高層ビルまるごと入場禁止」というようなことが起こりうる。そのときの原因が事故米のような企業犯罪なのか、過失なのか、はたまたテロなのかはわからない。そのとき行政が正義を発揮するのか隠蔽に走るのかはわからない。
今回の事件で、米は意外と報道によって流通ルートが捕捉されたように思えた。今でも回収しないでだんまりを決めている会社があるだろうが、記者会見を開いた会社は立派だ。さて、砂糖や大豆、小麦は大丈夫なのだろうか。
今日は尼崎の脱線事故JR西日本の幹部が書類送検された。安全に関わる企業の責任者は、安全に関して組織ではなく個人として積極的な関与を立証できない限り、結果責任を負うようにしなければだめだ。経営や営業に忙しいなら、安全管理者を任命して自分より高い給料を出すべきだ。予見可能性ありの場合は大量殺人もしくは未遂の量刑が妥当だ。そのリスクに合うだけの報酬を得てもいいが、せいぜい、経営者は訴追に備えて会社に保険に入ってもらって、防衛に努めるがよい。
役人の怠慢ということではなく、行政の監督はあまり効果がないと思う。安全を脅かす手抜きや改ざん、不作為を見抜くには全量検査をするしかないが、コストがかかる。結果責任を追及するしかない。
ただ、安全管理者やライバル企業を陥れようとしてわざと事故を発生させた者がいた場合、犯人がわからなかったり犯人誤認があったりしても責任を追究していいのかという課題がある。やり逃げが許されないような工夫が必要だ。