WindowsのJIS2004対応フォント

 Windows Vistaの登場で、MSゴシックなどの代表的なフォントセットがJIS 2004対応になった。以前、作文で「あふれる」という漢字を正字体で書いたところ「最近はさんずいに『益』と書くのだ」と国語の先生に注意されたことがあったが、実は常用漢字以外は正しい字形など決まっていないのである。中国の康煕字典に書いてあるのがあえて言えばお手本となる字形であり、今回のWindowsではそれが採用された。Windowsがこれまで間違っていたとは言わないが、アメリカからやってきたデファクト・スタンダードが日本の活字を決めるというのはどうもしっくり来ないので、今回の変更は歓迎である。
 「市」「柿」という字のつくりの縦棒がつながらなくなり、なべぶたと巾とで構成されるようになった。これはかつて、DOS/Vパソコンと呼ばれることが多かったWindows搭載IBM互換機がTrue Typeフォントを搭載して、印刷品質で日本メーカーのワープロ専用機に並ぼうとしていた頃に注目されたことだが、10年以上経ってようやく是正されることになった。このような細かいところでも日本の一般的な活字に合わせている。
 よく言われるのが植物の「くず」という字である。東京都江戸川区のWebサイトトップページ(http://www.city.edogawa.tokyo.jp/)にある

このホームページでは、固有名詞の「か西」を「葛西」と使用しております。

という表示は、やがてなくなるかもしれない。*1
 Windows XPでもJIS 2004を使えるようにするためのモジュール(WindowsXP.WindowsServer2003-KB927489-x86-JPN.exe)が公開されたので、導入してみた。10ポイント前後の文字だとすべて新しく作り直されたような印象を受ける。また、半角の英数字が全角文字とまではいかないが横に広くなり、Excelなどでは文字間隔が詰まったように見える。文字列の長さが変わることはないようだが、ソフトによっては悪影響を与える場合がありうる。

*1:ちなみにこの文字列はブラウザに表示されていたものをコピーしたが、サイト上ではか西の「か」が画像になっている。