家電量販店

ビックカメラが、女性客にも入りやすいように薬や文具の品揃えを強化している。百貨店1棟を引き受けた有楽町店でそごう時代からの品揃えが好調だったからか、他店でも試みている。
うちは不振のヤマダ電機とは違うというところを見せたいのかもしれないが、別のデパートフロア借りの店舗が新しくできたので行っていたところ、正直何を売りたいのかわからない。
前述のLED電球を見に行ったのだが、電球・管球売り場が日用品で埋め尽くされている。それなら作ったばかりのフロア地図かもしれないが書き直したらいいのではないか。そして、いくら探しても電球売り場は見つからなかった。店員に頼むと一点指定で即購入となってしまいそうなので、店員には何も告げずに駅の反対側の店へ。
そちらもスーパーの家電売り場を彷彿とするような品揃え。部屋のダウンライトの電球を交換したかったが、各商品は3個くらいずつしか陳列されていくて、店員を呼ばないと数が足りない。そして、無名メーカー製の安い商品だけワゴンに大量陳列されていた。LED電球は色味が3色あるのに選んではいけないような感じ。それなら近所のイオンやイトーヨーカドーで買えばよくて、わざわざ家電量販店まで来る必要はない。そして、駅の両側に店を構えていて、どちらの店はどんな客を自店に誘導したいのかさっぱり主張が見えてこない。わたしのように両方めぐったあげくがっかりさせたいのか。
一時期、ダイソンとルンバ旋風と国内家電メーカーの不振で白物家電売り場がちっともおもしろくない時期があった。今は掃除機など、個性が出ていておもしろいと思うが、電球・管球売り場がおもしろくない時期に突入しているように思える。
メーカー指定や性能で選ぶ客はこれまでは家電量販店に通っていたが、今はネットで購入するようになったという決めつけがある。実際そうなのかもしれないが、家電品のショーウィンドウ機能は誰が今後担うのか。家庭用カラープリンターの互換インクはとりあえずスマホ画面で見た説明文とユーザーコメントで購入ボタンを押すしかないのだろうか。あんなにたくさんメーカーがあるのに。
いくらVRが進んでも、当面は冷蔵庫、洗濯機、掃除機を画面だけで選ぶのは難しいと思う。ジャパネットたかたが人気を集めているが、動画で満足する客はいいが、そうでない客はメーカーのショールームに行くしかないのだろうか。
さらに気になるのは店員教育。在庫は段ボールに入っているものだけで、どうやって店員は商品の勉強をするのだろうか。アメトークの家電芸人の回を録画してみんなで見るのだろうか。
時代の変化を嘆いているわけではなく、この業界は隙だらけでおもしろい、ということを言いたい。家電量販店の再編は一段落したかのようだが、本格的なディスラプション(破壊的創造)はこれからだと思う。まあ、そもそも家電量販店自体がカメラや無線機の店からの異業種参入であり、Fintechの遙か前に起こった革命だったことを忘れてはならない。薬や文具ではないと思うのだが、どうなっていくだろうか。
シェアの発想なら、最初はレンタル料金を払って新品を受け取り、気に入ったらそのまま使い続けるようなサービスになるのだろうか。ただ設置が必要なエアコンや大型冷蔵庫はレンタルというわけにもいかないのかもしれない。若者は昭和時代より所有欲が低いとされているが、所有欲が低い時代が永遠に続くとも思えず、再び高まってきたときどのような購買形態になるのだろうか。

他の小売も

家電量販店がこんな感じだと、別の小売でも同じようなことが起きるだろう。前述のLED電球の例をそのままあてはめれば、ビールを買いに行ったらアサヒとキリンがちょろちょろっと置いてあるが、知らないメーカーの1品だけ山積みになっていてこれ以外飲むな、という感じになる。山奥にある雑貨屋の話ではなく、都市部のスーパーがそんな感じになる。店側にとっては適正在庫で合理化できているかもしれないが、何のためにリアル店舗をやっているのか客に遡及するものがない。