流通系銀行

ショッピングモールなどに行くと休日も営業している銀行の窓口がある。
ネット銀行とも一線を画し、身近な店に有人店舗があり、買い物ついでにいつでも寄れることがアピールされている。過去には都市銀行がスーパーと組んで似たような取り組みをしていた。通常の銀行店舗の営業時間帯ではなく、スーパーの営業時間なら夜間・休日でも開いているということでわたしは口座を開設したが、窓口を営業するには時間外でもITシステムが使えるようにしなければならない。合併の際にITシステムが対応しなくなり、やがて撤退してしまった。その店にも今では流通系の銀行が入った。
元日から開店しているのはすばらしいと思う。元日から営業しているといえば郵便局をイメージするが、ゆうちょ銀行は31日から4日まで休止である。
可能にしているのは代理店とITシステムである。
イオンはカード会社が代行している。人を雇ってクレジットカードの勧誘だけさせているのは効率が悪いし、モラルがあがらない。銀行の仕事もさせれば効率がいいだろう。セブン銀行は他行の窓口業務を引き受けている。
流通系の銀行窓口はパソコンとタブレットと汎用プリンターしかない。印鑑もいらないことが多い。普通の銀行に行くと通帳読み取り機や、さまざまな専用紙があるが、窓口担当者はパソコン画面の指示に従って操作し、来店者にもタブレットへのタッチを促せば手続きが終わる。多彩な業務があっても機械の置き場、専用紙のストック、そして細かい業務ノウハウが不要である。他社の業務を引き受けることも容易である。
ただし、代理店の窓口担当者では、パソコンに入っていない特殊な手続きを受けることができない。わたしは「それはコールセンターにお問い合わせ下さい」と言われたことがある。「夜間でも休日でもいつでも開いている」というのは開いていることが目的ではなく、どんな手続きでもいつでも受け付けてもらえることを顧客は期待している。なぜわざわざ店舗まで来た客に、有料の電話窓口を勧めるのか疑問であるし、手続きひとつでなぜ電話代を何百円も払うのはもったいないと思う。本人確認ができれば店から電話をかけてくれればいいではないかとも思ってしまう。携帯電話会社の場合、代理店からの問い合わせを受け付ける電話窓口を開設している。自分が電話をかけると延々と保留音を聞かされるが、代理店用窓口は待ち時間が少ない。銀行代理店にも銀行本体に相談できる窓口があればよいと思う。
とはいえ、店舗に来た客を平気で追い返すのはメガバンクでも同じである。店舗のロビーにあるテレビでタレントが「何でもご相談ください」と繰り返し言っていたので、窓口で、解約した定期の預け替え先についてお勧めがあれば教えて下さいと言ってみたところ、「インターネットの方が商品も多いですし、簡単です」と言われてしまったことがある。わたしの要望に応じることがお金にならないことは十分承知しているが、客を追い返す有人窓口は存在価値がないと思うし、そんな銀行はなくなる運命だと思う。今やメガバンクの有人店舗でさえ、何でも相談できるとは限らない。それなら新型銀行の窓口で十分である。