日本版401K直撃

2008年10月13日のワールドビジネスサテライトによれば、確定拠出型年金制度に加入させられた*1会社員のうちの6割以上が、10%以上の資産を目減りさせたという。東証では1日だけで瞬間最大2桁パーセント下げた日もあるというのに、なかなか健闘していると思う。
しかし、数十万円とか数百万円しか元本がないなかで、1割減ってしまうのはかなり大きい。100の資産で5%の年利回りを目指していた人が、90の資産を翌年に105に戻すには16%の利回りを目指さなければいけないのである。所詮平均成績3%程度でしょとか、1年で戻すのは無理でしょとか、教科書の理論を勉強した人はそう言うのであるが、あまり回復までの期間を長く設定すると、すぐに次の不景気が来るし、そもそも今後は長期的な株価上昇は難しいのではないかと思う。老後の資産を目減りさせたくないと思うならやはり多少はリスク商品を採用しなければならないが、がんばってしまうと今回のような事態はつらい。不景気もあれば好景気もあると、今は我慢するしかないのだろうか。
401Kの運用は、実に問題点が多い(以下は某社の場合)。

  • 信用取引やFXのように、価格下落時に儲ける手段がない。
  • 株式の低下に合わせて反比例するリスクヘッジ商品が乏しい。*2
  • リスク回避のために売りたいときでも、手続きに数日がかかり、タイムリーに売れない。
  • 株式商品を売却した場合、安定商品に乗り換えると低金利ゆえ手数料にて資産が目減りする。かといって、現金として保留することもできない。

こういう悲しい現実はなかなか受け入れがたい。どうしても受け入れられない若い社員は現金支給を選び、FXにつぎ込んで大枚はたくことになる。
北京五輪前のバブル時に、中国株に投資することはできなかった。バブルがよいか悪いかはともかく(たぶん悪いのだろうが)、今後も別の新興国でバブルが起こると予想することは自由だ。ところが401Kでは新しい商品が投入されることがない。結局バブルははじけたのだから、中国に投資しなくてよかったでしょ、というのは言い訳にならない。バブルがはじけたのはアメリカも同じだ。アメリカも中国と同じなのか。たぶん、10年後の報道は、こんな感じだ。

日本人は、数十年後に受け取る年金を、何の迷いもなくアメリカやヨーロッパに投資していた。

401K運営会社は、5年おきに金融商品のラインナップを見直すべきだと思う。

*1:もらう立場にすれば確定給付の方が安定していてよいに決まっている

*2:運営会社というよりは、現在の経済情勢のせい。円の独歩高及び低金利が影響している