異次元の使い方が間違っている

2023年1月28日AERA dot.
news.yahoo.co.jp
朝日の取材に応じた荒川さんは「怒っていない」と主張。記事にした記者のことをお怒りだそうだが、それはさておき、

岸田さんは日銀黒田総裁の真似をして少子化対策に異次元と名付けた。
歴代内閣は、内閣府少子化担当大臣に当てて、やっているポーズだけを見せてきたが、今度は異次元だそうである。
しかし、所得倍増を資産所得倍増にすり替えた過去があるから、今度の異次元も、はるか遠くまで、あるいは未知の領域に飛ばされそうな期待がない。
1丁目から2丁目に移動する程度なのかな、1番地から2番地に移動する程度なのかな、と思う。

今は何をやっているのだろうと思い、内閣府のページを見に行く。

  • 結婚・妊娠・出産・育児の切れ目ない支援
    • 地域少子化対策重点推進(強化)交付金
    • 結婚応援のための全国フォーラム
    • 結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置
はっ?

異次元の金融緩和と同じくらい異次元に飛ぶのであれば、これまでのしがらみを全部排除した政策を打ち出すべきなのだが、現在地から飛躍するのは現在があまりにもひどすぎるので、少しまともにやればなんとかなりそうな気がするのだが、「異次元」と言ってしまったからハードルが上がる。具体的に考えてみよう。

岸田さんより先に考える異次元の少子化対策

  • 妊娠一時金 妊娠3か月後に100万円
  • 出産一時金 無条件で500万円から1千万円
  • 子育て休職による減給補助を行う企業の費用補助
  • 子育て費用の所得税額控除、上限年間50万円
  • 結婚制度と事実婚の法的差別の撤廃
  • 婚外子の識別と法的差別の禁止
  • 側室制度の導入と届け出制度の創設

これらの政策の場合、最もがんばらなければならないのは法務省。次に財務省は岸田さんに言われてやるような官庁ではないけれど、それでも官邸は財務省を説得するというのが主な仕事になる。
地域少子化対策重点推進交付金って、新婚への引っ越し代補助くらいしかでないようだ。そもそもどこに行ったら申請できるのかね。各自治体で数人から数十人ずつくらいが受け取ったみたいだけど。

お得意の法制度逸脱の裏技

  • 20代女性に対する出産の要請

出産の要請。
要請なら、治験終了前のコロナワクチンでも「事実上」強要できるんでしょ。職場からの強要、差別に対して「打つのも打たないのも自由? ふざけるな、打たないなら辞めるのが自由だ!」とワクチン信者は憲法違反を繰り出してきた。
法務大臣が死刑を出すときにはハンコを押すだけ。実際に死刑のボタンを押すのは、下の人に押し付け、さらに下の人に押し付け、押し付け押し付けまくった末端にいる現場の刑務官である。
コロナ蔓延に比べたら、人口の急減は未曾有の、そして喫緊の危機だ。異次元の危機だ。コロナ以上であるなら、コロナと同じレベルの対策は取りましょうとなりかねない。
コロナで編み出された要請という手法を応用して政府は市民に間接的に押し付ける。
政府に与する企業などの組織に対しては、最終的には強要になるように少しずつ少しずつ表現を変え、通達を曲解していくことを求める。具体例は前回の書き込みを参照。
lqh.hatenablog.com

だから、出産も「要請」ということで、政府としては命令ではありませんがお願いをしているだけです、という体裁を保って霞が関を守りつつ、間接的にめぐりめぐって、「出産を拒む女性は大学を受験させない」「出産計画がなければ就職できない」「出産の計画が遅れていたら昇進できない」と女性をいじめる。同調圧力日本ならできる。

こういうのがいじめん・・・、じゃなかった、異次元なの。
わたしは個人への財政支援と法制度をやるべきだと思うが、政府がやりそうなのは要請だと思う。やっても誰も責任を取る必要がないことはコロナで実証済み。お金がかからないし、権力者には最高ではないか。