吹き抜けの考慮点

一軒家を建てるにあたって吹き抜けは憧れます。ただし、実際に住んでみるといろいろ大変です。

冷房

吹き抜けの一番上にエアコンをつければ、いわゆる小屋裏エアコン効果が期待できます。
家の広さや断熱性にもよりますが、効果的にエアコンを使えば、小さなエアコンで全館冷房できる可能性もあります。
しかも家の中にぽっかり穴が開いているので階下までの空気循環を意識する必要がありません。

しかし、それはエアコンをつけられればの話です。そのエアコンを設置する工事をする人は大変です。
室内機と室外機の設置場所は、床がある場所を確保したいです。
必ずしも、吹き抜けの下から上に仰ぎ見たところにエアコンの吹き出し口がある必要はありません。
エアコンの設置なんて10年に一度だから、業者の人にがんばってもらえばいい!と思うのは誤りです。
まず、工事の業界も人手不足で、短時間で効率よく設置して回りたいのです。
1人が1時間で設置したいと考えているものを、3人を3時間拘束してみてください。工事費を9倍払いますと申し出る前に「うちじゃできません、ごめんなさい」と言われてしまいます。
この場合のできませんは、技術がないということではないです。脚立を持ってきたり、足場を組んだりするのが面倒なので断ります、という意味です。
エアコン掃除業者はもっと大変です。水を吹きかけてそれをバケツにためなければなりません。
そもそも、エアコンはお掃除機能があったところで日常の手入れが必要です。10年掃除不要というメーカーの宣伝文句を妄信せず、エアコン掃除業者のYouTube動画でも見て研究しましょう。
住人の手が届かないところにエアコンを設置して、カビ対策は大丈夫でしょうか。
近年のルームエアコンは、人感センサーを設置して出力をAIで制御する機種が増えています。しかし、吹き抜けの上部は部屋ではないので、エアコンは人の動きを検知できないかもしれません。
冷房は居住スペースと同じ高さにつけるべきかもしれません。

暖房

暖炉や床置きの石油ストーブを使うなら問題ありませんが、冷房のために高いところに設置したエアコンを使おうとするならば、積極的に暖かい空気を下に送る必要があります。
吹き抜けがあると、暖かい空気は上に溜ってしまうからです。
暖房の効きは悪くなると思った方がいいでしょう。
暖かくしたければ吹き抜けは日の光が注ぎやすい場所にした方がいいでしょう。しかしそれは夏には冷房が効かない場所になってしまいます。

換気

吹き抜けの高いところには窓をつけることはあっても、はめ殺しにして開け閉めして使うものではありません。
焼き肉をした時の油を含む煙は、上にたまります。吹き抜けとは異なるところに換気窓があるといいでしょう。
換気機能が充実したエアコンを使うことも考えられます。

掃除

「吹き抜け 掃除」のキーワードで検索してみてください。
長い柄の掃除道具についてアドバイスが得られますが、その掃除道具はどこに収納するのでしょうか。
吹き抜けには壁しかないと思っていても、窓があれば窓枠にほこりがたまっていきます。足場がないところではかなり掃除が大変です。
ましては、窓を拭くなんて無理です。もし外から目立つ汚れがついたらどうしたらいいでしょうか。
冷暖房の補助としてシーリングファンをつけることが考えられますが、ファンにはほこりがこびりつき、羽を止めると汚れが目立ちます。
ファンの色は白ではなく、木製や黒がいいかもしれません。

さて、掃除が大変だということは、掃除の頻度が下がるということです。
大掃除の季節に思い立って掃除をすると、上から大量のほこりが舞います。
吹き抜けの下には、何も置かないか、片付けて別の場所に移動できるものか、布なので覆い隠せるものだけを置くようにします。

照明

天井につけたり、天井から吊る照明は設置できないので、設置できるものが限られます。
ただし、シーリングファンと一体型の照明もあるし、これは吹き抜けを設置するときに業者から様々な提案があるので、住人が悩むことは少ないかもしれません。

照明を高いところにつけてしまうと交換が大変です。
何でも呼びつけて買い物をするお金持ちはいいですが、LED電球の交換だけで来てくれる人を見つけられないなら自分で交換できるようにしたいです。
そして、交換の前には掃除が来ます。

床面積の減少

これは仕方がありません。空間を楽しむものですから。

さいごに

いろいろあるんだな、と思う人もいるかもしれません。特に必要としないのに造るものではありません。
ただし割り切れば、この程度だとも言えます。
以前、吹き抜けについて書いたら結構アクセスがあったので、さらに補足してみました。