ChromebookからiPad Airへの買い替え

iPad Air 第5世代を買った。
購入にあたってはApple大好きYouTuberのみなさんの批評を参考にしたが、Apple目線で述べられているので、Chromebookから乗り換えた経験を交えて気がづいたことを記録したい。

Chromebookの限界

最近はChromebookも数多く店頭表示されるようになった。わたしが最初にChromebookを購入したときは多くて3機種程度だった。
GIGAスクール構想により、多くの安価な端末が求められているからだと思うが、子供の学習向けパソコンについても展示面積ではWindowsといい勝負をしていたのが印象的だった。
以前と比べてGoogleはウィルスに感染しないことを謳った刺激的なテレビコマーシャルを控えめにしているものの、OSが自動アップデートされるなど利点は引き続き多い。
ただし、現行機でも搭載内蔵メモリーは4GBが中心。Chrome OSが軽いので動画を眺めているくらいであれば問題ないが、例えば外部モニターにつなげようとすると何度も画面がちらつくなどして安定するまでに時間がかかる。高性能機は機種の選択が限られるし、同じ値段でiPadWindowsノートが買えてしまうので、あえてChromebookを選ぶ意義を失ってしまう。
Microsoftが提供するサービスとの相性が悪い。Windowsファイルサーバーとの接続、OneDriveとの接続における操作性がよくない。また、かつてはMicrosoft Officeアプリが使えたが更新を停止してしまった。
一番良くないのは、長く使っているとOSの更新ができなくなることである。Googleは、古くなったWindowsパソコンを再利用するためのChromeOS Flexを配布しているが、サポートが切れたChromebookを再生できる道がない。それと比べるとiPadの方が比較的OSのサポート継続期間が長い。

iPad Airを選ぶ

持ち歩き用の端末として、仕事ではiPad、私用ではChromebookを使っていたが、私用でもiPadにしてみようと思い立ち、購入に踏み切った。
2022年のウクライナ侵攻などによりインフレと円安が加速し、このままでいると半導体搭載製品がどんどん値上げしてしまいそうで、今買わないならしばらくChromebookになりかねないと思った。iPadシリーズなら中古需要が高いので古くなったら下取りに出せるだろう。Chromebookは見た目がパソコンなので、自治体のごみにも出せないのが面倒である。
今後、Microsoft Officeを使いたいと思ったので、先に書いたChromebookMicrosoftの相性も気になった。まあ、本当はOfficeを使いたいならMicrosoft 365を契約してWindowsパソコンを使うのが一番だが、iOSやiPadOS向けでもそれなりの互換性は確保されている。
非力だけれど電池が長持ちするChromebookもよかったけれど、その反動で高性能なCPUにひかれた。2022年モデルはiPad Proと同じCPUを搭載しているということで、無印のiPadではなく、Airにすることにした。以下、この書き込みにおいて、「iPad」とは以前から使っている無印iPad、「iPad Air」が今回買った製品をさす。
モバイル回線が使えると外出先で便利なことはこれまでiPadを使っていてわかっていたし、これからはワープロを使うにもクラウドサービスとの連携が不可欠だ。端末内蔵のストレージにいったん保存してしまうと、そのファイルの管理が面倒になる。なので、2万円程度上がるがCellarモデルにした。
同時期、MicrosoftSurfaceが値下げ攻勢を強めていて、家電量販店のポイントを付けるキャンペーン*1も行われていた。外付けキーボードを無料でつけるキャンペーンもあったが、Windowsパソコンにもかかわらず対象機種が128GBしかないということで、Windows Updateすらまともに動きそうにないので採用を見送った。
iPad Airワープロとして使うには外付けキーボードが必要であるが、これは悩んだ末にLogicoolのCombo Touch Keyboardにした。重量がやや気になるが、キーに触った感触のよさや充電不要であることを今のところ評価しているが、しばらく使ってみたらまた感想をまとめてみたい。

買ってから気づいたこと

どんな製品にも完璧はないのではあるが、妥協をしても成長はないので、気づいたことをまとめておく。iPadシリーズは情報が豊富で、本体については多くの人がすでに語りつくしていて、わたしが今更「ぬるぬる感が心地よい」とか言っても野暮なので、今回は2022年に登場したアクセサリー関連の評価が中心である。

外付けキーボードと画面保護シートとの干渉

画面保護シートは複数のメーカーから製品が出ていた。違いがよくわからなかったので安いものを家電量販店で選んだ。
iPadに着けているシートは画面両端に額縁があるので、そこにテープで張り付ける方式である。今回のシートはスマートフォンのように画面全体に接着する方式だ。いくら気泡ができにくいとは書いてあっても、シートをつける作業がとても苦手だし、気泡がたっぷり残ってしまう。店の貼り付けサービスを使うこともできるのだが、今回は家に端末が配送されたのでそのまま自分でやることにしてしまった。10.9インチあるので、スマートフォンの場合よりも貼り付け位置が難しく、ほんのわずか0.5mm程度短辺が隅に寄ってしまった。
気泡があろうが寄っていようが、iPad単体で使っているときには全く気にならない。気泡でさえもバックライトのついた画面では見えなくなる。
ここまでは想定していたが、今回はCombo Touch Keyboardを使う。キーボードを使うためのカバーを装着すると、なぜか端から画面保護シートが浮いてくるではないですか。きっとシートが寄ってしまったことも影響しているのだと思う。カバーを装着した状態でシートを貼るとよさそうである。
マグネットで着脱できるタイプのシートにすべきだった。今回はスタイラスペンを使おうと思ったのでマグネットタイプは浮いてしまうかなとも思ったが、それ以前に量販店には接着方式のものしか売られていない。この点は情報不足だった。

スタイラスペン互換品の種類が多すぎる

まず、Chromebookについては複数方式が存在していて、ニッチな市場がますます分割され、純正品でさえもメーカーに問い合わせたら「品切れです」「生産再開見込みは立っていません」という。それなら公式製品カタログに乗せるなよと思った。メルカリを1か月くらいチェックしていたが面倒くさくなって買うのをあきらめてしまった。
iPadApple Pencilで直接かけるのがお勧めとよく読んでいたので、スタイラスペンを買おうかなと思った。ただ、Apple Pencilは高すぎるので、ジェネリック医薬品のように互換品を選ぶことになる。
Amazonで見てみると、聞いたことがないメーカーの海外製品がたくさん売られている。それを全部取り寄せて比較してみたというYouTube動画を見て、一番評価が高かったのを取り寄せようとしたら、やっぱり品切れだった。ああ、今度もかと思ったが、数日後に見たら大量入荷していたようで、購入することができた。ちなみに量販店よりはECサイトの方が種類が豊富である。
Apple Pencilは、マグネットで本体側面に接着できて、ケーブルを使わずに充電ができる。これが純正品の差別化要素であったが、2022年頃より、互換品でも同じことができるようになっている。iPadを充電ケーブルから外すとペンが電気を吸い続けるという評価もあるようだが、普段はペンケースに入れて持ち歩けばよさそうである。何しろ、iPadとカラーリングを合わせているペンを見つけることができず、灰色の本体に真っ白なペンが付着している状態である。少し見た目がかっこ悪い。

一部のPD接続のケーブルが刺さらない

これもCombo Touch Keyboard関連であるが、カバーを取り付けてもスピーカーとUSB-Cコネクターの場所には穴が開いていてふさがないようになっている。
カバーを取り付けた状態で、PCモニターにつなげようと思った。普段はWindows PCと外部モニターをUSB 3.2のケーブルでつないでいる。モニター側にはUSBハブの機能がついていて、映像出力だけでなく、ThinkPadキーボード、Windows Hello対応Webカメラ、USB接続のEthernetアダプターをケーブル1本で接続し、かつPCにPD給電できるようにしている。
iPadiOSから派生したiPadOSにより、外部ディスプレイをサポートするといっているので、大型モニターを用いた作業ができることを期待している。
ところが、当初はUSBケーブルを指しても映像出力がうまくいかなかった。それどころか充電もできていない。
よく見てみると、カバーが干渉して奥まで差し込まれていないようである。カバーを外すと前述のシートが浮かなくなるだけでなく、USBケーブルも挿せるようになった。
USB端子付近は、差し込むときの持つためだけではなく、様々な回路が入っている。過電流保護などの仕組みが入っているため、少し古いケーブルは持ち手の部分が大きくなりがちである。一方、カバーは純正電源ケーブルを使うことを想定した穴しか開いていない。純正は細くなっている。
1,000円前後の新しいケーブルを買ったら問題なかったが、Amazonのサイトでは持ち手の部分の寸法が書かれていないことが多い。iPad用と書いてある製品の写真にひとつだけ書かれているものがあって、それを選んだ。

Combo Touch Keyboard

他のアクセサリーとの相性について2つふれたが、キーボード自体についても評価しておかなければならない。

  • 重たいけど、キー入力重視する人向け
  • キーボードが外せるけれど、カバーだけでも重たくなる印象
  • 奥行きに空間がないと置きにくい
  • キー配列は特殊だが慣れれば問題ない
  • キータッチ音は低い音で控えめ
  • 最上段のファンクションキーが使いやすい

など、主要な部分では他の人の評価と違いはない。
x86*2使いにはoptionキーとcmdキーの違いはわからないけれど、わからなくても実用上問題はない。

  • 英数に変えるときに「漢字」キーがないので「英数」キーを押す
  • Windowsキーがないので、ホーム画面に戻るときは最も左上にある□ボタンを使うか、左手で画面左下をスワイプする

の2つを覚えておけばあとはどうにかなる。
カバーのボリュームボタンの場所には、「+」「−」がついているが、横置きをしているときにはプラスとマイナスが逆転する。これも慣れれば問題ないと思っている。
せっかくiPad Air本体の色を30分くらい悩んだのに、カバーを付けたら地味な灰色に覆われた。外側のカメラレンズのあたりなど、ちらっと本体の色が顔を出しているにすぎない。Appleのリンゴマークもlogitecの「logi」ロゴに差し替えられてしまった。本体を落とした時にカバーがしっかり保護してくれそうなので、見た目はあきらめることにしよう。
安定性では通常のノートPCの方がよいと思うが、Chromebookのキーボードの品質がすこぶる高いというほどでないので、奥行きが必要である以外は大きな減点はない。
片手で持つと重さを感じるけれど、ノートPCであればそもそも片手で持たないから、キーボードつきのiPadもノートPCだと思って両手で持てば気にならない。ただ、iPad Proにしてしまうとさすがに重たいだろうなとは思う。
あと、マウス操作も注意が必要だ。わたしはThinkPad Keyboardか、NoteパソコンのThinkPadを使っているので、これらの場合はトラックポイントマウスポインターを動かすし、手首は机の上である。一方で、Chromebookや今回のCombo Touch Keyboardの場合、キーの手前にフラットパネルがある。長年トラックポイントになれていると、フラットパネルは使わない。Windowsパソコンではコントロールパネルで無効にすることがある。ただ、Combo Touch Keyboardはマウス操作をする唯一のデバイスなので使う機会が生じるものの、手首のポジションがトラックポイント対応になっていて、使わないときにフラットパネルをさわってしまうという問題が生じている。
手首を浮かせて使うように慣れる必要がある。長々書いた割には、ほとんどの人には参考にならないかもしれないが。

ThinkPad Keyboard接続

先に外部モニター接続についてふれたが、新しいUSB-Cケーブルにつなぐことで、iPadThinkPad Keyboardの接続は簡単にできた。いくつかのサイトでプロのライターの方がこの組み合わせについて語っていたので自分でも試してみた。
結論から言うと、普段Windowsパソコン、Chromebookを使っていた人間が、Combo Touch Keyboardの配列を覚えながら、iPadにつないだときのThinkPad Keyboardの配列も使い分けるのは無理があるだろうということで普段使いの時は大型モニターに接続しなくてもいいかなと思った。
ただし、Wordでひたすら文字だけ打つような場合は、画面上でオブジェクトをつまむ必要がないのでその場合は使えるかもしれない。
ただ、Combo Touch Keyboardの習熟もしたいので当面はThinkPad Keyboardを使う場面が限定的だと思われる。

アプリ

iOSのアプリはiPadでの利用を想定して作っているからiPhoneアプリを大きい画面で見ても安定している。金融取引のアプリではiPad専用アプリを用意している場合もある。
一方、Chromebookの場合、Androidアプリを動かすことができるが、横置き画面でも縦長のスマートフォン向け画面のままだったり、全画面表示をしたときに画面が固まったりするなど、Chromebookのことはあまり考えてくれていないみたい。そもそも画面サイズ、解像度などがメーカーによってバラバラなので何に合わせて作ったらいいかわからないのだろう。iPadAppleしか出していないので画面サイズの種類は限られている。
Microsoft Officeのネイティブアプリが廃止されてしまっている。iPadであれば普通にダウンロードできるが、Chromebookの場合はもうダウンロードできないし、ダウンロード済みの場合でも起動の都度、Office.com への移行を勧めるポップアップが現れる。

電池の持ち

さすがに買ったばかりなので、充電を完了した本体を充電ケーブルから外してそのまま持ち歩いた時にはしばらく100%を維持していた。
動画をみるとみるみるバッテリーが減っていく様子が確認できた。使っているCPUが高級なので、仕方がないかもしれない。非力でも電池が長持ちするChromebookとの違いが最も現れそうである。

価格

Windowsのエントリーモデルが、iPadの実売価格を意識した価格設定にしているのだろうなと思った。それくらい、今回はiPad Airでしょ、いや、Windowsマシンでもいいかな、いやいや、という葛藤がしばらく脳内を駆け巡った。
キャンペーンなどを利用して本体を安く手に入れても、Combo Touch Keyboardにスタイラスペンをつけてしまうと、Windowsパソコンと価格が並んでしまう。
iPadの修理をしてくれる店は都会にはたくさんある。一方、本体価格競争力が比較的高いメーカーのWindowsパソコンの場合は、サポートへの電話がつながらない、メールしても返事が遅い、とにかく送れという、サポート期間が終了していれば吹っ掛けてくるといったことがわかっているので、買った後のことも想像しやすかった。下取りにも出しやすければ同じ価格ならばiPadシリーズの方がトータルコストが下回る気がする。Surfaceについてはほとんど知らないが、ストレージ256GB以上のモデルでも20万を切るようならば今後検討してみたい。

わからないから気にならない

ChromebookからiPad Airに移行してみたが、正直iPad Airの中でどのようなプロセスが動いているのかよくわからない。Windowsだとタスクマネージャーやサービスの画面で、Chromeブラウザを起動しただけで瞬く間に大量のプロセスが立ち上がる様子や、セキュリティソフトがやたらディスクを回している様子がわかるのだが、iPad Airにはまだ慣れていなくて確かめることができない。また、いつも画面はぬるぬるなので確かめたいと思ったこともない。
常にウィルススキャンなどに20%くらいリソースを使っているような気がしてしまうと、Windows向けハードウェアと他のOS向けハードウェアとを比べた時に、Windows向けの方は2割引で性能を比較してしまう。残り2割は余計な計算をして電気を熱に変えているだけではないかと思ってしまうのである。
それでいて、Apple M1プロセッサーが前のモデルよりも60%も性能を高めた*3と言ってしまうと、圧倒的に差をつけたのではないかというような気分にさせられてしまうので、2022年時点ではいったんiPadシリーズに勢いがあるなと感じたところだが、また使っていくといろいろ気になることが出てくるに違いない。

*1:通常、Apple製品やSurfaceはポイントがほとんどつかないことが多いが、それを製造元が了承していたということ

*2:WindowsChromebook系統のコンピューター

*3:Air 第5世代の場合