ポイント経済圏の改悪と言えば楽天が有名だが、ヤフーのTポイント離脱もよくよく分析してみるとステルス改悪である。
Tポイント削減分はPayPayボーナスから改称したPayPayボーナスを付与するとしているが、Tポイントとは異なり、上限などの制約が厳しい。
オンラインショッピングでは様々なキャンペーンをやっていて、最大30%台のポイント還元が得られるとしているが、高額の買い物をしたとすると、表示通りのポイントがもらえない。
楽天の場合は買い物マラソンと称して、限定期間中にたくさん買い物をすることがポイント付与率を高めるこつであるが、ヤフーの場合は買いたいものを普段からリストしておき、キャンペーンが来たら1点買いするのがよい。5%で1,000円が上限だったら、1,000円が5%になるに買い物をすることになる。すると、2万円ということになる。
ところが、キャンペーン期間の本体価格がお得ではないこともあるので注意したい。このポイントの原資が加盟店負担なのか、それとも、キャンペーンだということで財布のひもが緩むと考えているのか。
キャンペーンに合わせて買うなら断然ふるさと納税である。これはキャンペーンに合わせて価格を変動させていないことが確実であるからである。返礼品の価値を寄付金の30%相当ぎりぎりに設定することがほぼ決まっているので、寄付金額を変動させたらクレームが来るだろう。そもそも、他の寄付募集サイトにも同じ商品を出している場合は、特定のオンラインショッピングサイトに出品した商品だけ価格を変えたら不自然である。
キャンペーンのポイント還元の原資は誰が払っているのだろうとは思いつつ、ありがたく高還元のときに定価で寄付を行う。
還元額の実例
例えば、本日は2022年7月の海の日3連休なのでヤフーがキャンペーンを打っている。広告では最大30.5%と謳われていた。
ただし、実際はオンラインショッピングの実績などによって還元率は決定する。わたしの場合は「24%獲得」と表示された。
ふるさと納税でもらえる、あるクーポン券は寄付金の30%相当が返礼品としてもらえる。
寄付金額が複数設定されていたので、ポイント還元額を含めて比較してみる。
寄付金額 | 3万円 | 10万円 |
返礼品 | 9,000円相当 | 30,000円相当 |
ポイント還元額 | 6,200円相当 | 16,000円相当 |
実質還元率*1 | 50.7% | 46% |
ちなみに、ポイント還元額の明細は次の通り*2。
寄付金額 | 3万円 | 10万円 |
キャンペーン1 | 1,000円相当(5%) | 1,000円相当(5%) |
キャンペーン2 | 1,000円相当(5%) | 1,000円相当(5%) |
キャンペーン3 | 600円相当(2%) | 2,000円相当(2%) |
キャンペーン4 | 600円相当(2%) | 2,000円相当(2%) |
キャンペーン5 | 600円相当(2%) | 2,000円相当(2%) |
キャンペーン6 | 300円相当(1%) | 1,000円相当(1%) |
キャンペーン7 | 300円相当(1%) | 1,000円相当(1%) |
キャンペーン8 | 1,500円相当(5%) | 5,000円相当(5%) |
ストアポイント | 300円相当(1%) | 1,000円相当(1%) |
ポイント還元額の「〇円相当」というのはヤフーが採用している表現で、キャッシュバックではないから実際に還元されるのはポイントであって、円ではないという意味なのだろう。
円相当と%の数字が計算が合わない。例えばキャンペーン1と2は、どちらも1,000円相当(5%)となっている。これは5%としながら、上限額が1,000円に設定されているからである。2万円でも2,000万円でももらえるのは1,000円。ただし、円相当と書いてある数字からはぶれない仕組みになっている。
3万円と10万円に商品に違いがあるわけではないので、3万円を10口でも10万円を3口でも、等しく31,000円相当となる。還元率の下がり方も同じである。
このクーポン券をたくさんほしいと思ったら、毎月のキャンペーンに合わせて、デパート友の会のようにちょびちょび買っていくのがいい。同様のキャンペーンが繰り返されると仮定すれば、約20%相当を継続的に獲得できる(返礼品と合わせて約50%)。ふるさと納税が50%還元というとお買い得な感じがするが、最大30.5%還元で、24%表示で、実際は20%くらいとなると「10%はどこに消えた」と思いたくなる。
年間何回に分けても、寄付する先の自治体が変わらなければ、確定申告を省略する特例制度の適用は受けられる。実際は毎月納税できるのであれば自治体を変える人が多いと思われるので、5か所を上回れば確定申告することになるだろう。
還元率にこだわる時代でもない
JR東日本のJREポイントを使って普通列車グリーン車に乗る。普通車なの?グリーン車なの?と読み間違えやすい名前だが、種別が普通または快速に連結されているグリーン車の有料座席に座るということを指す。
距離によっては1,000円を超えて特急料金よりも高くなっている場合があるが、JREポイントの引き換えだと距離に関わらず600ポイントで乗れる。2020年12月には500ポイントと書いたが、最近では400ポイントで引き換えられるキャンペーンがこっそり行われている。
1,000円が400円というととてもお買い得な気分になるが、有料座席に乗るのは通勤をする人にとっては、贅沢の部類に入るのではないか。
クレジットカードなどのポイントは、ちまちま貯めても使うときは一瞬である。しかも、何に使ったかなんてすぐに忘れてしまう。一方、30分、1時間窮屈な思いをする代わりにゆったり移動できれば価値が高いし、それが6割引き以上となればさらに満足度が高い。
少しポイントで金銭的な得をする代わりに、体験や空間で満足を得る「こと消費」にシフトするのであろう。
航空会社のマイレージ会員にしても、せっかく出張でマイルをためていても、家族が無料航空券に勝手に引き換えやがったという話を聞く*3。頻繁に飛行機に乗るようなビジネスをする人にとっては1回数万円の航空券を手に入れるのもいいけれど、今時は海外に行くのも大変なので、ラウンジが使えたり、会員専用の検査場が使えたり、手荷物や乗り継ぎタクシーの手配をしてくれたりした方がはるかに満足度が高いと思う。
毎回少しでも高い還元率を狙ってちまちま調べる時間と手間がもったいない。
還元率にこだわるくらいなら、仕事や自己投資を頑張った方がいいと思う。もう、デジタルストアの進化は一段落し、アマゾンはストア以外のことに多角化を広げている。昔みたいなポイント大判振る舞いは戻ってこないと思われる。市場が成熟化したということだ。