ビットコインETF

 日本における暗号資産取引の業界は、税務当局に対して暗号資産の課税を雑所得から総合課税に変更するよう要望しているのだという。
 その理由として

分離課税ではないことが適正な申告を妨げている

ことを挙げているが、正攻法で攻めても国税はなかなか動かないと思う。
 そもそも客が正しい確定申告をできないような状態で商売をしてはいけないのではないかと思う。損益計算サービスなどが出てきて自分でExcelを使って税額計算をする必要はなくなったけれど、「確定申告については税務署にお尋ねください」と言っているのは責任放棄ではなかろうか。

 さて、海外では2021年1月ごろから、ビットコインETFが承認され始めている。通貨をETFにするなんて何のためかと思ったけれど、日本においてはETFであれば源泉徴収してもらえる。最高税率55%と20%源泉徴収とを比べれば、手数料を5%くらい大胆に徴収しても投資家には十分なメリットがある。
 日本の証券会社がそのうち取り扱いを開始するかもしれない。
 暗号資産はもともと、各国政府機関としては通貨発行権を脅かす敵ともいえる存在である。インドでは取引を禁止する動きもある一方で、日本の金融庁は、資産を取り扱う業者を監督するようになった。
 そして、ETFとなると、ますます金融庁管轄の話になってくる。
 もともと通貨とみなせば国の色はついていないのだが、ETFとなるとどこかの国の金融商品ということになる。海外でETFが承認されれば、日本人がそれを購入することができるようになるかもしれない。
 暗号資産の業界としては、これを国税ではなくて金融庁に持っていって「国富が逃げます」と言えばいいのではないか。
 ただ、暗号資産の取り扱いを大手も始めているし、Fintechが騒がれている中、暗号資産の金融商品化については国内で目立った動きがない。
 日本のFintechは楽しいスマホアプリか、手数料削減が花盛りであるが、なんでもどん欲に商品にしていくというのがそもそも金融の正業なのではないか。
 政府もこのまま何もしないわけにはいかないだろう。国税がFXなみ総合課税を認めるか、金融庁ETFを承認するかのどちらかしかないと思われるのだが、親分の財務省としてはどちらを動かすつもりなのだろうか。