スコップ

 ある街では雪が降り続いていて住民は困っていました。前に雪が降ったのは数十年も前で、見たことがあるのはお年寄りだけでしたが、異常気象でしょうか、ここ数週間毎日降り続いています。
 積雪の累計は5mを超えて、あちこちで電線が切れてしまいました。住民は屋根が雪の重みに耐えられるか不安になりながら、家にいるしかありませんでした。お店を開けることはできませんし、食料も燃料も尽きてきました。
 役場では遠くの街から除雪車を借りてきましたが、フル稼働しても全然追いつきません。また、除雪車が入れない道もたくさんあります。
 そこで役場は、ひとりひとりにスコップを配ることにしました。みんなに雪かきをしてもらおうと。
 ところがこれに反対をする者がいました。役場の役人は仕事があるのだからスコップは自分で給料で買えと。スコップは幹線道路沿いに住む人は1本、町外れに住んでいて除雪車が来ないところは2本にすべきだとも言います。
 すると、うちは幹線道路沿いだが雪の量が多いとか、うちは家族が多いから多すぎるとか、大人たちは文句を言い始めました。
 しかし、子供が来て言いました。そんなことを言っているよりも早く配ってしまったらいいのではないか。早く雪かきを始めたほうがいい。

今はCOVID-19前と全く違う世の中になってしまったという認識を未だに持てない人が数多くいます。財政規律がどうだの、公務員に給付すべきではないとか。そいういうことは今も将来も気にする必要はないのです。今苦しんでいる人に、今すぐ手を差し伸べるべきなのです。