花粉症免疫療法はいくらかかる? 実額で公開

対処療法が中心だった花粉症。免疫療法による根治の可能性がある減感作治療は、注射を打ち続ける必要があったが、スギ花粉については錠剤によって手軽に行えるようになった。
インターネットで調べるといいことばかり書いてあるが、費用に関する情報が少ないので、実額を公開。ちなみに健康保険で3割診療である。

初診

アレルギーの検査を必ず行う。初診料、検査料あわせて7,360円。なお、検査当日は結果が出ないので薬は処方されない。

2回目

舌下免疫療法の錠剤「シダキュア」7日分を病院で処方。シダキュアは花粉を錠剤で固めたようなもの。薬というよりかは異物かもしれない。ただ、体にとっては薬も人間が人工的に作った異物の一種だ。結果的に症状が緩和されるのであれば、薬と同じだ。診察料を含め1,160円。

3回目

慣れてきたので花粉の量を増やす。1錠あたりの含有量の多いシダキュアに変えるのである。ここからは30日分*1。ほぼ処方箋代だけ。「特定疾患処方管理加算1」という少し高めの処方箋代となっているが630円。今回以降は薬局で薬を受け取るよう指示される。薬局に行って1,830円払う。

4回目

1か月後、薬が切れるので病院に行く。病院での応対は全く変わりなかったが、特定疾患療養管理料というのが加算されて1,310円。薬は同じものなので1,890円。

5回目

さらに1か月後、薬が切れるので病院に行く。処方箋代は1,310円。薬は全く同じものなのに1,920円。
この後も、春夏秋冬毎月医院に通い、処方箋をもらって、薬を受け取り続ける。3、4年かかるとのこと。
錠剤を30錠もらうだけなのに、金額がぶれる。このぶれが何を意味するものなのかは知らないが、1回約3,300円かかるとして、

1年目: 年間約5万円
2年目以降: 年間約4万円

ということになる。
対処療法するときにアレルギー用鼻炎薬の錠剤を買うと、シダキュアの錠剤と同じくらいの金額。それにスプレーを買ったり、マスクを買ったり、あれこれ対策グッズを買うと免疫療法と同じくらいお金がかかるが、花粉症の人であればそれはすでに発生している費用。病院で処方を受けている場合は薬代は保険適用になっているかもしれないが、別途診察料がかかるし、2019年8月には、健康保険組合連合会が花粉症の薬を将来保険外にするとの提言をまとめているhttps://www.kenporen.com/include/press/2019/201908232.pdf。よって、どちらの療法でも月額負担はさほど変わらない。ただし対処療法であれば花粉症の季節以外はお金がかからない。重度の人は早くから薬を飲み始めるが、軽症の人は発症してから飲む人もいる。免疫療法を開始する場合は、人によって長さは異なるものの対処療法をしなくていい月の分が新たな負担となる。
昼間の活動中も鼻水がたれる、くしゃみが止まらない、かゆい、頭が痛いといった不快な症状がなくなる。夜寝る時も鼻が詰まって息苦しくて目が覚めることはなくなる。これに万単位のお金を払い、一年中毎月病院と薬局に通うのとどちらがいいかは個人の価値観による。

どうやって始めるのか

今は12月だが、間もなく花粉症の季節が始まるので、治療開始にふさわしくない時期を迎える。今始めていない人は2019冬→2020年春の季節は対処療法でがまんして、時期が去ったら病院に行こう。薬をもらうだけなのでいろいろな診療科目の開業医がやっているが、定期的に通うのにふさわしいところを探そう。医者や薬剤師の腕は全く関係ないので、通院に使う時間とお金を最小限にすることが重要。

  • 受付から処方箋発行まで待たされない
  • 医薬分業ではなく、その場で処方してくれる
  • 薬を受け取りたい日に不定期の休診をしない、または、Webであらかじめ休診日の確認が可能
  • 薬局がキャッシュレス還元に対応、クレジットカード払いが可能

異物を処方するわけだし、わたしも治療開始時期は軽い副反応を経験したので、厳格な管理が必要なのかもしれない。でも、春になれば勝手に山から飛んでくるものなので、普通にドラッグストアで買えてもいいような気がする。医師が認めたら途中からドラッグストアで購入できるシステムを作れば医療費削減になると思うのだが、医師や薬剤師が反対するので難しい。

*1:厚生労働省の指導により、処方箋では30日分しか出せないらしい https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000184201.pdf。出してはいけないとは書かれていないが、管理が必要なので30日ごとに確認する必要がある、と医師が専門家として判断すれば、医院は処方箋代を定期的に受け取ることができる。