郵便局員営業ノルマ廃止

かんぽ生命の不適切契約の問題を受けて、郵便局員の契約目標は廃止されると報道されている。
ネットでは内部関係者*1が「喉元過ぎれば熱さを忘れる」と言わんばかりに、近い将来のノルマ復活を示唆する旨の書き込みをしているのも見かける。商品に競争力がなく、商品企画を規制されたうえでノルマもなくなれば衰退することが確実だが、たとえ滅ぼうとも失った信頼だけは回復させたいということだろうか。
家計の貯蓄は膨らんでいる。金融関係者は低金利だから金融商品が売れないと言い訳をするが、本当に低金利だからだろうか。金融機関はマイナス金利でも日本国債を買うのである。自らの行動と矛盾している。
金融取引に人が介在する時点で、その人に手数料を払うために買わされるということに人々は気づいているのである。しかもノルマがある場合は、買う時期まで金融機関に誘導されてしまう。他人の都合でものを買わされるということに対して納得感が得られない。
気づいてしまった人にとっては、街中で支店や窓口を見るだけで、自分の利益を食いつぶす手数料の発生源としか見られなくなり、見るのもいやになる。借り手にとってはただちに資金調達が機械化・AI化されるわけはないので人が必要なのであるが、預金者や保険契約者はもう人が募集をかけてはいけないのだと思う。
詳しい説明がないと買えない人たちは、自分で勉強をするか、自分でお金を払ってアドバイスを求めるのがいいだろう。中立を装い無料でアドバイスをしてくれる店もあるが、ただほど高いものはない。
郵便局員は、ただでアドバイスをする要員であるから、存在自体がお客様のためになっていないのだと思う。

営業の役割

金融に限らず、情報化社会における営業は、単に商品を売ったり、商品の契約書を顧客に届けることだけでは難しい。クレジットカード番号を入れてぽちっとするだけのネット取引に勝つことはできない。
仕組みづくりができなければ営業の価値はない。
仕組みとはなんでもいいのだが、

  • お金の流れを作る
  • 商品の流れを作る (販路を開拓する)
  • 商品を組み合わせる
  • 契約実現に関する課題を解決する
  • 顧客が支出するときの障壁を下げる
  • 商品企画時とは異なる使い方を提案する
  • 人を組み合わせる

というようなことだ。かんぽについては、国の信頼をバックにセールストークを信じさせることで支出の障壁を下げていたのだが、それが見破られた今、郵便局員には売る手段がない。
今、仕組みづくりの仕事はひとつずつAIに奪われようとしている。最後まで難しいと思われるのが人と人をむすびつける仕事である。特に経済取引や金銭授受が絡む現場において、AIが決めた人と提携しようということにはなりにくいと思う。
ところが、対面販売は金融商品の投資先の人というのはほとんど見えなくて、契約者と商品をマッチングさせるだけの仕事である。投資先の人が見える商品であることが望ましいが、郵便局ではふるさと納税の仲介くらいしかできなくて、しかも郵便局が絡んでいるために手数料が高そうである(本当に高いかどうかはわからない)。そもそもそれは郵便の商品であって金融商品ではない。厳しい、厳しい。そして厳しい。

*1:本物かどうかは不明