スマートフォンへの過積載

数年ぶりにスマートフォンを新規購入した。国内メーカー製のAndroidマシンだ。
通信会社作成のソフトウェアと、メーカー独自のソフトウェアが導入済みで、すぐに使えるのはうれしいが、問題はそのほとんどが利用者の了承なく稼働していることだ。そこにこれまで利用していたソフトウェアを入れて使う。
すぐに使えるというのは誤りであるとわかってきた。数十のソフトウェアで最新版への更新処理が始まる。本体が熱を帯びてくる。更新処理の負荷が高く、他の処理が重くなる。利用者そっちのけで、お化粧直しに専念している状況。
それが終わっても電池の減りがすさまじい。外出先で半日もたないのではないかと思った。メモリーは4/5が使い果たされ、自分の好きなソフトウェアを新たに起動することが難しい状態である。そこで機能が重複するソフトウェアを止めてみるが、まだ足りない。どうも常駐ソフトウェアが常時CPUを稼働させ、位置情報を取得しているようなのでそれを削除する。気がつくと初期導入ソフトウェアのほとんどは削除または無効化していた。
さらに、通知が頻繁に入る。ニュースなどをきめ細かく送ってくれる。通知をクリックすればすぐに見られるのであればまだ使いようがあるが、反応がもっさりなので実用的ではない。また、Webブラウザを通信会社系列のブラウザにすることを強要してくるため、それを拒否しているわたしは毎回ブラウザを選ばされる。きめ細かく情報を入れてくれる秘書というよりは、なんか迷ったら先輩の都合を考えずに聞いてくるアルバイト社員のようである。Android 5以降は、Android 4とは異なり、ロック画面にも通知を入れてくる。プライバシー確保のため、詳細情報を非表示にする設定も用意されているが、ソフトウェアの名前だけでも利用者の嗜好が第三者にばれそうである。普段使用するソフトウェアも含め、通知は次々と無効に設定する。通知が頻繁にくるということはそれだけのソフトウェアが常駐し、時折通信を行っているということである。
1日外出先で使えるスマートフォンが完成するまで、購入から3日かかった。

国内メーカーは機器本体で勝負してほしい

利用者向けに様々なソフトウェアをてんこ盛りする必要はない。そのソフトウェアを開発する費用があったら機器本体の開発費に回すか、消費者還元してほしい。以前は他社ソフトウェアをたくさん載せるかわりにそのソフトウェアメーカーからお金を取るビジネスが盛んだった。今でもそれはあるが、どちらかというと、電池をいたずらに消費しているのはメーカーの名前が入っているソフトウェアである。
海外メーカー製のAndroidも使っている。こちらも大量ではあるが、オリジナルソフトウェアは同じデザインのアイコンで同じフォルダにまとまって入っていたため、個性はないがアンインストールは楽だった。初期状態では電池がもたないことを理解しているので、拡張電池パックつきで売られていた。なかなか正直である。しかし例えばSHARPのエモパーはデバイス管理が初期設定で有効になっている。端末の管理役を一ソフトウェアが担っているため、無効化するための設定が複雑だった。しかも削除はできない。
通信会社やメーカーは、電池の持ち時間をカタログでアピールしなくなっている。じっくり探すと小さい文字では書かれているが、三菱自動車の不正以上にでたらめであるので、強調すべきポイントとしていないのかもしれない。特に、通信会社製のソフトウェアはメーカーにしてみたら自社で開発した部分ではなく、メーカーの性能として測定するのは難しいのかもしれない。
ただし、消費者にとっては電池がもつ、熱を帯びないというのは非常に重要なポイントである。1日もつとか、3日もつとか、プリインストールソフトウェアの存在があったら不可能である。

プリインストールソフトウェアありでの計測値を併記していただきたい。

機器開発時点のバージョンのものでよい。端末やOSの性能ではiPhoneに負けていなくても、ソフトウェアがだめにしている。
同じ機種を複数の通信会社に下ろしていることがある。その場合、カタログ数値で違いが確認できれば、どの通信会社が余計なソフトウェアを載せているかがわかる。そのソフトウェアが本当に便利で欠かせないものであればそのまま使い続ければいいが、利用者が価値を理解しなければ単に電気を熱に変えているだけの存在である。これから季節は夏に向かう。消費者は携帯電子懐炉を求めてはいない。