MVMO

数年後、ソフトバンクがひとり勝ちする時が来るような気がする。
ドコモやauはMVMOを受け入れているが、3GやLTEを止めたくなったときにどうする約束になっているのか、消費者には知らされていない。卸売りとMVMOとの間には取り決めがあるのかもしれないが、いざドコモやauの都合が決まったときに契約者は反発するのではなかろうか。
ソフトバンクも突然3Gを止めると言い出すであろうが、新端末を格安で提供するであろうという期待が持てる。自社の3G利用者だけ配慮すればいいので、他の2社より先に3Gの帯域を新サービスに振り分けられるのではなかろうか*1
大手3社以外は新端末を格安で配る体力がないのではないか。体力のないMVMOは利用者を失望させる局面を迎えるであろう。ソフトバンクモバイルはワイモバイルなどと合併するが、ワイモバイルは今でこそ独自性を発揮しているが、将来規格対応への道筋は不透明である。

移行が鍵

ただ、MVMOの敗北が確定しているわけではない。今、MVMO向けに売っている端末もやがては買い換えの時期を迎える。使い続けたくても、電池交換ができない機種や、大手の端末を解約してMVMOのSIMカードを挿している場合は電池が劣化して継続使用をあきらめるしかない*2。その時にうまく新しい規格に乗り換えさせることができれば支持を得ることができるだろう。ただし、新規格投入は大手にとって絶妙のタイミングを仕掛けてくるだろう。基地局のアンテナは3Gから新規格に徐々に切り替えられ、つながりにくくなる。タイミングを間違えた契約者は、買い換えたばかりなのにつながらない旧規格端末を抱えて困ることになる。

耐用年数の希望と現実

Windows XPが事実上使えなくなったが、すぐに新しい物が発売されるOSが10年以上サポートを受けられたのは意外である。スマートフォンはどうだろうか。すぐに新しい物が発売されるのは同じだが利用者が買い換えたいから買い換えているのであって、すぐに使えなくなるものという意識は薄い。最短では1年で買い換えるものにもかかわらず、スマートフォンにかぶせるジャケットの売り場はとても広く、様々なデザインの物が売られている。実際はすぐ捨ててしまうのに、利用者の意識の中では耐久消費財なのである。
しかし、数年後にMVMO向けに作られた端末が一度に使えなくなる事態が発生し、スマートフォンにも使い捨ての時代がやってくる。MVMOは古い機種の延命にも使われているが、高齢者の契約が多いともされ、性能が最新より若干劣る機種が売れているようだ。
一番消費者にとって好ましいのは、新しさを体感できる時期に買い、次に乗り換えたいときにちょうど保守サービスが終わることである。買い換えたい時期に、携帯電話の買い換えキャンペーンのようなものが始まれば理想である。
以前は1円携帯の選択肢が豊富で、乗り換えに対する抵抗が小さかった。もしくは性能が上がっていたから買い換え希望も高かった。ところが高額の販売支援金も、新製品の高い話題性も過去の話で、これからは今の物を使いたいという希望が増えるだろう。その時サービス終了をうまく同意してもらえるかが重要である。

*1:新規格は大きな帯域幅が必要で、現在の3Gの帯域はそのまま使えないかもしれない。だとしても現在の帯域を返上すれば代わりの帯域をもらいやすいだろう

*2:いずれも高い手数料を払って電池を交換したら、通信料を節約している意味がない