データ放送

番組連動放送はザッピング防止のためにあるのか

アナログ放送休止により利用可能人口が増えたデータ放送。それを活用した番組連動放送が徐々に増えている。dボタンを押すことを促す字幕を見かけるようになった。
ところが、あまり有益な情報はない。番組制作では撮影や取材されたソースのごく一部しか放送で使わないらしいが、それを惜しみなく出してほしいと思う。例えば日本テレビのスポーツ中継では自分たちで取材した情報を中継の間ずっとしゃべっているが、試合に集中できないので黙っていてほしい。その取材力はデータ放送で発揮してくれたらいい。視聴者は知りたいデータだけを選んで読むようになる。
懸賞募集は、番組連動放送でよく見る使われ方のひとつである。データ放送を見ることでたまるポイントのデータはテレビの電源を切っても残せる*1のだが、チャンネルを変えただけでもリセットされるようにしている番組もある。コマーシャルを含めて長い時間見続けた視聴者が有利になるように作られていて、放送中は最後までチャンネルを変えてほしくないというレビ局の思いがあらわれている。
チャンネルを変える「ザッピング」を防止する策として、これまではキーワードが使われた。番組中にキーワードが発表され、最後にプレゼント応募はがきのあて先が発表することで、継続して番組を見ないと応募ができないようにしていた。これがデータ放送を活用する策に切り替えられたのである。プレゼントの当選者数は変わらないようだし、ネットによって応募はがきの仕分けが不要となって手間が省く。中には有料のテレゴングを活用することでプレゼント発送原資も視聴者から徴収するものもある。
国も視聴者も投資して生まれた新しいメディアがテレビ局の視聴率安定のために使われている。視聴者のために使ってほしいと思う。

データ放送の競争力

紅白歌合戦では視聴者が投票できるが、1台で1票、家族で1票である。どの世代がどちらに投票したのかに興味があるが、データ放送ではわからない。どちらが勝つかだけではない付加情報があれば双方向通信が楽しくなるだろう。単に「参加できます」というだけなら、ひとり1アカウントで参加できる端末の方がおもしろくなる。1部屋1アカウントのテレビにも何か使い道はないだろうか。
さて、番組連動ではない気象情報、交通情報は便利だと思う。しかし、これを見るには本放送の番組映像と音声を必ず視聴しなければならない。パソコンに比べて起動がやや短いので今は使えるが、起動が速いタブレット端末が居間に普及したら使われなくなるだろう。ニュースは操作性、応答速度がやや低い。改善するには高性能の部品を使い、テレビを使っていないときも稼働してあらかじめ受信させればいいのだが待機電力・消費電力が増える。
ワンセグはさらに厳しい。ワンセグデータ放送はエリアの狭さ、起動の遅さ、受信の遅さ、操作のわかりにくさ、操作に対する応答速度の低さ、どの点をとっても昔の文字放送並かそれ以下である。モバイル用途ではスマートフォンに対する競争力がない。携帯電話の大規模通信障害が長期にわたって続いた場合、バックアップとして残ればいいかなくらいの認識である。

*1:フジテレビ系のバレーボール日本代表戦の中継では、毎日同じ時間帯に放送が行われ、前日までのポイントを引き継ぐ仕様だった