世襲制限

国政選挙における地盤・看板・鞄の相続問題について、フジテレビの報道2001などを見た。世襲制限反対派の言い訳がほとんど説得力がなく、むなしい。

  • 党公認の話題で憲法職業選択の自由を持ち出すなど、ちゃんちゃらおかしい。麻生首相まで憲法を持ち出すからおかしい。
  • 反対派が「もっと大局の議論をすべき」というのはもっともな話で、世襲制限はすぐに了承して次の議題に駒を進めるべきである。
  • 「自分たちが世襲したことを棚にあげて議論をするのはおかしい」というのはおかしい。なってしまったものは仕方がなくて、国民はこれ以上世襲を増やすのを防いでほしいと思っているわけである。
  • 「日本の行く末を案じて、子供が厳しい政界への道をあえて選んできた」というが、それを親が反対しなかったり応援したりするのはどうしてか。それをやめてほしいのだ。政治家に向いた思考回路や性格を遺伝的に持っているというのは多少はアドバンテージからもしれないから、親と縁を切って他の選挙区から出るというなら許してやってもいいと思うが、将来世襲を送り出す立場になる現職議員が子供をかばう発言をするのはおかしい。
  • 世襲議員でもあっても、県連で予備選挙を経てきた」という後藤田議員の発言は全く意味がわからない。看板を継いでいる時点で、地元で予備選挙をやれば圧倒的に有利だ。名前も変えて、覆面候補として出たというなら意味がある。
  • 世襲を腐敗に結びつけるのはおかしい」というのは、確かに一理ある。
  • 後藤田議員は、菅選挙対策推進副本部長に対して、小泉世襲について「けつをふけ」という表現で大物議員に対して具体的に対応するよう求めていたが、これは言わば「本当に先輩議員に反抗できるのか」と言っているわけだ。これを言い出したら、毎回どこかで世継ぎが行われるのだろうから永遠にできない。大物議員がいるからできないと言っていないで「次から」という言い訳はしてもらっていいからまずは制限を決めてほしい。
  • 世襲を是とすべきかは有権者が判断すべき」という主張も、全く意味がない。番組でも突っ込まれていたが、党公認が出てしまえば、党の支持者は党の候補を応援するしか選択肢がない。中選挙区大選挙区ならばともかく、比例代表小選挙区では政党支持者は個人の議員を選ぶ権利は与えられていない。
  • 世襲でも優秀な人ならばいい」と言うが、庶民感覚を理解していないという点で能力がないと言われている点について全く反論がない。わたしたちはお坊ちゃんお嬢ちゃんであることは変えられないという開き直りすらなく、無言である。ここが不思議だ。庶民感覚という論点が、麻生総理のバー通いなど、マスコミが作り出したものだとしても、世論となってしまっているのだから何らかのケアが必要だろう。
  • 西松建設問題で反転攻勢を見せたはずの自民党は、世襲問題自体で民主を再び勢いづかせてしまうのか。お金も裏技を使わず、議論するだけで復活しつつある。自民党としてはもったいない。

現職候補は対象外にもかかわらず、現職世襲議員の多くがこぞって反対するのはどうしてか。何かあると思われても仕方ない。