オンライン前提に反対

インターネットマシンを買ったばかりなのでアイフォーンはあまりうらやましくない。でも、操作のわかりやすさと軽さはすばらしいと思う。
最近、愛用のノートパソコンの起動がやたら遅い。どうも複数のソフトウェアの更新確認処理が行われているようだが、ネットワークにつながっていないときはタイムアウト待ちになってしまって処理が進まないようだ。
そして前述のYahoo!トップページも遅い。

スタート画面はオフラインで作るべき

パソコンや携帯電話はネットにつないで使うものだから、起動時もオンラインが前提とする設計には、重大な欠陥がある。さすがにオフラインで起動するとプログラムが異常終了してしまうということはないようだが、タイムアウトすればよいという問題ではない。
ネットへの接続というのは、人間が情報を送受信したいと思うことをきっかけに、人間が「送りたい」「受けたい」と命令するところから手続きが始まる。更新確認ソフトウェアが、バックグラウンドで勝手に動くのはかまわない。操作しなくても自動接続する機能があってもかまわない。でも、それはおまけの機能だ。本来は人間が「つなぎたいです」という意思を示すところが出発点である。おまけの機能があるから本来の機能は不要ということにはならない。
そのとき「オンラインではないのでお待ちください」「受付が開始されるまでしばらくお待ちください」とコンピューターがプログラム構造の都合で人間を待たせるのは最悪である。人間の要求を受け付けながら裏で接続を試みて、受付後もなおオフラインのままだったらそれは仕方がない。歯医者に行ったら、先生が忙しいからと、助手や事務員が受付もしないしカルテの準備もしなかったら、待ち時間が長くなるだけでなく、態度にクレームをつけたくなるだろう。
昔は、ネットワークにつなぐのには高い料金が必要だった。そこで、ダイアルアップの接続画面は、使用者に「ここからは課金されます。課金に不都合があれば、この先の操作は中止してください」という案内をする役割を同時に担っていた。ところが、定額制が導入され、課金確認の意味合いは薄れた。そこで一部の設計者は勘違いをしたのだろう・・・「ネット接続開始画面は不要である」と。しかし、最初の画面がオフラインであるということこそ実は意味があったのだ。
Jスカイのウェブトップ画面は、オフラインだった。最初の画面はさくっと出すという基本をわきまえた人が設計したのだろう。やがて、メニューが増え、Vodafone Live!ではトップ画面に更新機能がついた。コンテンツは端末内に保存されるが、月1回程度更新される仕組みになった。そして、Yahoo!ケータイ。なぜかトップに最新の報道ニュースを載せるようにしてしまった。本当にあのSoftbankが作っている画面なのだろうか。
こういう場面を想定してほしい。移動中に、現地に間に合うかどうか不安になった。そんなときは路線検索が役立つのは言うまでもない。最短で調べるには、発駅と着駅を入力するページをお気に入りに入れておくとよいだろう。電車の中で、発駅には次に止まる駅、着駅には行きたい駅を入れれば、何時に着くかがわかる。Y!ボタンを押して、お気に入りを選び、入力画面で検索ボタンを押す*1
これが地下鉄だとどうなるか。
トンネル内で、Y!ボタンを押すと、ニュースの部分が「通信中」になってボタン操作を受け付けなくなる。中断は可能だが、それはYahoo!ケータイ自体の終了を意味し、もし間違えてやってしまったらまた最初からやり直しになる(時々やってしまう)。

いらいらしながら、次の駅に着くのを待つ。駅についてしばらくすると、端末は駅構内の基地局の電波をつかんで利用可能になる。ところが使える時間はわずかだ。検索画面にたどり着いた頃には電車は発車してしまう。
駅を入力すると、またトンネルの中で圏外だ。さらに次の駅に着くまで待たなければならない。
以前の携帯ならば、オフラインで入力画面までたどり着けたわけである。駅に着くまでにゆっくりと駅名を入力し、駅に着いたら検索ボタンを押せばよかった。Yahoo!ケータイは、2駅分の時間を車内利用者から奪っていることになる。わたしにとってはJスカイの方がよかった。
携帯電話は地下鉄に限らず、電波状態が悪いところが多いのだから、圏外表示が外れた一瞬の間に用をすませたいということが少なからずある。なのに、オンラインになるまでお待ちくださいのスタイルをとるのは、利用者の使い方がわかっていないと言わざるを得ない。
もっとも、コンテンツの開発者は、多くの機種での稼働検証するのに一所懸命で、電波はいつも端末に届いているという前提を置いてしまっているのかもしれない。

オフライン時操作の実機テスト・・・タイムアウトまで待たなければならない→面倒→省略!

Yahoo!だけでなく、これからはPCだけでなく、テレビも家電もネットにつながる時代であるが、どれを使ってもいらいらさせられるようになってはたまらない。我が家のアクトビラも最初からオンライン画面である。画面が1枚多いのが嫌な人には、省略する設定ができるようにしておけばよい。もう少し想像力を働かせてほしい。

単なる受像器とクライアント機器との違い

テレビやラジオは「これから受信を開始します」と言ったりしない。これは相手が勝手に送ってくる情報を単に受信するだけの機械だからである。コンピューターも大昔は端末は離れたコンピューターから送られてくる画面を受信するだけのものだったという。パソコンでもこの考え方を応用した製品がある。
しかし、ネット端末はこれらとは違う。端末側にもコンピューターが入っていて、ネットにつながなくても利用者からの要求には答えるようになっている。また、大昔の画面は単純だったが、手元の端末に高性能な頭脳を乗せることで、豊かな表現と短い応答時間を実現したのだ。
ところが、今のネット携帯は豊かな表現の方だけがんばってしまって、小さい画面に何でも載せようとする傾向にある。その結果が「通信中」ではしょうがない。利用者が最初に見たいのは「オレはネットにつなごうとがんばっているんだ」というやる気ではない。そういうことはどうでもいいから、まずは情報を探す準備ができましたという姿勢を見せてくれよ、と思う。GoogleAppleのアプリケーションはそこらへんが徹底している。

*1:ショートカットキーでは、ブックマークしか使用することができないと思われる