定期券の買い方 (東京圏限定)

 新年度・新学期を控え、通勤・通学経路選びや定期券購入の準備をしている人もいるだろう。ただ、3月にはいろいろなサービスが出てきているのに、鉄道各社はきちんとガイドしてくれない。新学期に向けて「定期券購入ガイド」を掲載してもよさそうなものだが、それもない。ICカード乗車券による定期券購入範囲拡大については、JR東日本は特集ページを*1用意しているが、東京メトロの場合は、各駅に1枚か2枚しかないポスターをさがさないと情報が入手できない。なんで、宮崎あおいのイメージ宣伝*2を流すお金があるのに、必要な情報をきちんと提供しないのか。「詳しいことは駅係員まで」ということかもしれないが、いつも混んでいる有人改札や定期券売り場でわかるまでレクチャーを受けるのは気が引ける。そもそも、営業規則をWebにちゃんと掲載している会社は何社あるのか。紙で出版している外郭団体がいて、天下り役人の商売の邪魔になるということかと思いきや、元国有のJR各社は出している。さほどコストがかかるとは思えないが、理由がわからない。儲からない定期券を買ってほしくない事情はわかるし、儲からない定期券の宣伝をしたくない気持ちもわかるが、お客様満足のことを考えてほしい。
 仕方がないので、わたしからも少しガイドする。
 定期入れのカードを減らす2つのサービスが3月に始まった。

  • 3会社線接続等、定期券発売範囲の発売
  • PASMO一体型クレジットカードの発行

 交通ICカードを2枚持っている場合、同時に改札に読ませるとエラーになるので、通勤・通学経路が3つの会社路線にまたがる場合の選択肢は、1.定期券をあきらめる 2.磁気定期券を併用する、だった。しかし、これが1枚になる。とても便利だが、定期券の有効期間の途中で通勤経路が変わる*3場合、一部の会社だけ払い戻すことはできない。区間変更は可能であるが、定期券を買った事業者でのみ可能だ。A社-B社-C社接続の定期券を、A社で買ったら、B社-C社の定期券に区間変更することはできない。これまで2社接続までとは違い、6箇月にもなると高額券面になる可能性がある。使わなくなった時点で「定期券売り場に行くのも面倒だし、まあいいや」では片付けられず、区間変更を行う場面も出てくるだろう。どの会社で買うかどうか、注意が必要となってくる人が出てくるはずである。
 PASMO一体型クレジットカードは、JRのVIEWカードではすでにSuica一体型カードが発行されていて、後発参入となる。ただ、私鉄しか走っていない区間ではSuica定期券は使えないので待ち望んでいた人もいるかもしれない。モバイルSuicaのような携帯電話アプリケーション型の乗車券はPASMOにはないが、一体型ではようやく追いついた。クレジットカードとICカードの両方の機能を使いたい人にとっては、財布がかさばらないので一見よさそうに見える。ただ、定期入れの乗車券と、財布のクレジットカードは、多くの人にとって同じところには入れるものではない。ICカードなら、券面を人に見せる必要がないので、定期入れの奥深くのポケットにいれる人もいる。一方、クレジットカードは取り出しやすいポケットに入れないと支払いの時にまごつく。例外的に、検札省略型のJRグリーン車に乗る場合など、ICカードを取り出す機会が多い人もいる。人によってどのように持ち歩いた方がいいかは異なるのだが、定期入れにクレジットカードを入れない人は一体型は使いづらい。
 ICカードに定期券を入れる場合、定期券には有効期限がある。一方、クレジットカードにも有効期限がある。有効期限が異なる2つの機能が1枚に入っているのは切り替えのときに不便である。PASMOに一万円のチャージをした後、新しい期限のクレジットカードが送られてきたらどうなるのか。そのとき、まだ6箇月定期の期限が5箇月余っていたらどうなるのか。加入する前にクレジットカード会社に確認した方がいいだろう。・・・ところが、こういうことも広告では説明されていない。
 PASMOは、当初、分離発行しかなかった。この場合、同時に申し込んでも別々に送られてくる。後発で一体型が登場し、クレジットカード会社によっては切り替えも可能なようだが、自分の使い方に合わせて慎重に選んだ方がいい。

*1:http://www.jreast.co.jp/renrakuteiki/index.html?src=banner

*2:宮崎あおい自体はほのぼのとしていて悪くないけれど

*3:大きな会社に就職して、最初の一時期は別の支店で研修があるなど